POWER STATION STAFFのつれづれ日記

2006年2月にOPENした高槻市別所交差点にあるオートバイショップの修理レポ・日常あれこれ・看板猫のことなど他愛もない話。

開けてびっくり

 今日W650、明日VRXと車検予定の車両が入庫予定なので今すでに入庫しているXJRの状態確認を
スピーディに進めていこうと思います。

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 分解前の初見ではフューエルコックの交換もしくは一部リング類交換しつつ分解清掃そして
キャブオーバーホール+インナーパーツ交換しないとかな?ていう見立てでした。
 しかし、分解していくうち見えてきたことが多数…

 まずキャブを開けたのですが、開けると多量の錆が混入した跡が。

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 キャブ内部の茶色いものが錆です。

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 キャブに多量の錆が混入する原因っていえばまあガソリンからしかありえないですが、こんなに錆が
落ちているならキャブに到達する前に通過するフューエルコックもやはり錆まみれになっているだろう、と
コックを分解するとやはり錆まみれでした。
 (コックは一部部品交換でいけるか調べたくてすぐ洗浄してしまった後なので写真割愛)

 お預かりしたときにオーナー様がエンストすると仰っていたのでオーバーフローしたことでカブってるんかな
という予感はありましたが、さらに分解点検を進めていくうちかなり重篤な状態ということが判明していきます。

 エアクリーナーボックスあたりに液体のにじみがみられると聞いていたのでエアクリーナーを取り出すと
キャブからオーバーフローしたガソリンそしてブローバイから吹き返したガソリンとオイルの混ざり合った
もの達でひたひたになっていました。

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 すでに高額修理になりそうな予感がむんむんなので再利用できるものは使いたいなと思いエアフィルターを
洗ってみたけど、下半分が変色してました。

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 んーこれはちょっと再利用きついか…?
 エアの入り口がびちゃびちゃではうまく吸気できず健全な燃焼もできなかったでしょう。
 で、このフィルターを洗浄して車体に戻しても、ビスカスに汚れが残ってたら適正な吸気ができないかも…。

 で。エアクリ側にこうもガソリンが多量に流れているという事はキャブのバルブでガソリンを止めておくことが
できなかったということなので、キャブのバルブも交換しないといけないだろうと思われます。
 キャブの部品て小さいけど精密にできてるので一個一個が結構するんですよね。特にこのバルブシートは
なかなか複雑な形状らしい。

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 店長に言われて初めて知った、バルブシート(矢印の楕円部分)に直径10㎜弱の小さな網がついてる!
 この造りみたらそりゃ高いわ!って思いますよねぇ。 
 4気筒なのでこれが4つ必要ってそら当たり前だけど値段も4倍になるのよねヒー/(^o^)\


 で、今回のようにエアクリに多量のガソリンが落ち、ブローバイの吹き返しも多量に発生しているということは
吸気側だけでなく燃焼室側、つまりエンジン内にもガソリンが流れ込んでいることでしょう。
 実際にクラッチカバーについているオイル点検窓を見るとサイドスタンドで停車させている(車体が反対側に
傾いている)にも関わらず窓は規定量ライン(矢印部分)を超え満タン状態。

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 エンジン内は本来適量のエンジンオイルが入っていて循環していますがそこに多量のガソリンが落ちると
オイルが希釈されオイルが適正量より多くなってしまう、そしてガソリンで薄まってしまうので潤滑性能が
ダダ下がりになります。

 こうなると今エンジン内に入っているオイルらしき液体を全部抜いて、新しいオイルに交換するべきです。
 これから暑くなる時期、使用頻度が増えるだろうし空冷で熱もかかるのに潤滑・冷却性能が下がった
オイルなんてリスキーすぎる(最悪エンジン焼ける)><

 できれば今入っているオイルを抜き取った後一度グレード低いものもしくはフラッシングオイルを入れ
エンジンを回し、しばらく循環させた後に捨て、それから本チャンのオイルを入れるべきかなと思います。


 ここまでやって元通り、と言いたいのですが、まだ原因の根本が解決できていません。
 こんなことになったのもすべてコックやキャブに多量の錆が回ったことです。

 ガソスタで入れたガソリンには微量なら錆が入っていることがありますが、こんなに多量にというのはまあ
ありえません。なので錆は本体のタンク内からやって来たと思うのが自然です。

 XJRのタンクを見ると…

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 見える範囲に錆びた跡が見られました。
 タンクの開口付近のぶつぶつっとみかんの皮みたいになってるところも過去に錆びたものを錆取りした
痕跡と思われます。

 大型バイクは大体サイドスタンドで停車するので左に傾いた状態で停めておくことになります、なので
タンクが錆びるのも左下が多いです。
 長い間放置している間に結露などの水分が中に発生、水は油より重いのでタンク内の水分は左下に
溜まっていきその部分が錆びていくという感じです。 

 タンクの形状的に奥までのぞき込めないので左下の患部であろう場所は目視できないけれど
見える範囲でも錆が浮いているし、タンクから一度ガソリンを抜き取ってしばらく乾燥させた後エアガンで
ブローしたら錆の粉がぶはっと出たので奥で錆びていることは間違いないです。

 これを改善するにはタンク内を専用の錆取り剤にて錆取りするべきです。


 ここまでやってようやく健康な状態になるかと思います。
まとめると

① キャブレターオーバーホール・バルブ交換
② フューエルコック交換
③ エアクリーナエレメント交換
④ エンジンオイルオイルフィルター交換(+フラッシングが望ましい)
⑤ フューエルタンク錆取り

 店長曰く今回はタンクの錆が発生したことで起きる症状フルコースとのこと。

 もう少し早い段階で対処していたらもう少し被害は抑えられたかもしれません。
 大半見えない所で起きているのでオーナー様が異常を察知するのは難しいかもですが。

 しかしこのブログを読んでくださっている方に覚えていて頂きたい、ガソリン漏れは火災の危険があると
いうだけでなく今回のような事態が発生している可能性もありますんで予兆(※)が見られたら早めに
バイクショップに相談する等の手を打って頂きたい ということを~><;;


 ※ 予兆→車体周りや車体自体に本来無いはずの液体漏れ痕がある、なんかガソリン臭い気がする等