エンジンから音が出ているKSRのエンジン開けてみた の話の続き。
ヘッドを外しピストンシリンダーを点検しました。
すると、やはりどうもお互いが当たりってしまっている形跡が…。
よく観察するため腰上も分解します。
シリンダー↓
少し表面がピカッとしてる部分がありますね。これはピストンとシリンダーが当たり合ってクロスハッチが
薄れているということです。
表面のクロスハッチはオイルを抱きかかえるためにわざとつけてある条痕。これが薄れると油膜保持が
しにくくなり、さらにピストンとシリンダーが当たり合いやすくなる→焼ける という危険が。
オイル管理をそれなりにしてらっしゃった筈なのになぜこのようなことになったのかというと、このシリンダーが
ノーマルのおよそ1.5倍にボアアップされているからだと思われます。
燃焼室の容積を沢山確保するため、ピストンの高さをギリギリまで薄くしているせいで長い時間
負荷をかけすぎるとピストンが首振ってシリンダーに当たってしまうのです(><)
リング下のスカート部分がもう少し長いと首振りは起きにくいんですが…。
そしてピストンにもうっすら当たった跡と、嫌な縦筋も見られる…(^O^;)
さらにピストンを分解したら、ピストンピンにも負荷がかかっている跡が。
排気量を上げる場合、店長の見解ですが120%くらいまでがギリギリ限度で、それを超えるとエンジンの
耐久性が大きく犠牲になってくるとのことです。
本来100%状態の耐久性+安全マージンていう感じで設計されているので、ソレを大きく超えるとこのような
ダメージが出てくるわけです。
しかしこんな不完全なものがどうして市販されているのか!
それはすごく簡単な話。
これらのボアアップキットはほとんどが“レース用”として販売されているのであります(´・ω・`)
がちレース車両っていうのは数時間の短い時間にその車体のポテンシャルをフルに使って臨んでいます。
ですからワンレース終わる毎にエンジンを開けるのが当たり前、耐久性よりも少しでもパワーを引き出すこと
に特化して整備します。
だからこのキットも同様、しょっちゅうメンテナンスをするのが前提の耐久性しかもたせてありません。
普段使いで長く使用するには向いていない。
さて、ダラダラ説明はこれくらいにしといて。
ピストンピンにあんなに跡がついてしまっているってことは…クランクシャフトが心配です。
傷んでいるピストンやシリンダーを新品に交換するとしてもクランクが歪んでいたらまた焼けるリスクが
ありますからね。
シャフトの状態チェックするには…あーもう腰下まで分解せにゃ(;´ω`)
エンジン全バラだーーー!
…続く(・∀・)